About AI Computer Sovereignty

DIARY

COMRADE

7/7/20251 min read

グローバルAI戦場の中で、日本はどこへ向かうのか

2025年、AIをめぐる世界の勢力図が急速に塗り替えられている。オックスフォード大学が発表した最新レポート『AI Compute Sovereignty: Infrastructure Control Across Territories, Cloud Providers, and Accelerators』は、世界中のAI計算資源(いわゆる「算力」)の配置を初めて明らかにし、AI覇権を争う国際競争の現実を突きつけた。

気づけば、日本は静かに“外側”に追いやられていた。

いま、世界ではある種の「見えない戦争」が進行している。
その戦争の主戦場は、もはや資源でも領土でもない。

——それは、「誰が未来の頭脳を持つか」という争いだ。

アメリカと中国が膨大な投資を積み上げ、
サウジやUAE、インドまでもが国家予算をつぎ込むなか、
日本だけが、不思議なほど静かだ。

かつて技術大国と呼ばれた国の“沈黙”

1980年代、日本は世界に「技術の日本」を印象付けた。
トロン、ウォークマン、新幹線、ファナック、NEC、富士通——
あの頃、日本の技術は世界の憧れだった。

しかし今、私たちはどうだろう?

自分たちで作り出す“未来の基盤”を持たず、
外から提供される“頭脳”に依存し、
最先端の開発も訓練も、「借りた力」で行う日々。

私たちは、気づかないうちに
「考える力の外注」を始めてしまっていたのかもしれない。

世界はもう、次のフェーズに進んでいる

中東の石油王国が、「未来は頭脳資源だ」と気づき、研究拠点を建設。
インドが数十億ドルを投じて、次世代の“頭脳工場”を育てている。
ヨーロッパは米国依存から脱却し、独自の技術ネットワークを構築中。

その裏にあるのは、「主権を取り戻す」という共通の思惑だ。

  • 情報を自分たちの手で処理したい

  • データもシステムも、自国で完結したい

  • 「他国に頼らない未来」をつくりたい

そして、そんな世界の中で、
日本だけが「誰かが何とかしてくれる」と静かに構えている。

それでも、この国には光がある

希望がないわけではない。むしろ、可能性はまだ残っている。

日本にはまだ、世界が信頼する“力”がある。

  • 信頼される法制度と倫理観

  • 世界屈指の省エネ技術と環境設計

  • 丁寧で繊細な設計思想

  • 社会インフラとの統合力

つまり、日本が目指すべきは、
“賢く、軽く、信頼される未来”を創る国
である。

世界が「早さ」や「派手さ」に夢中なときこそ、
日本の“地味で堅実な技術”が本当の価値を持つ。

今、必要なのは?

ここで動かなければ、本当に後戻りできない。

1. 未来の頭脳を育てる場所を国内に持つこと

借りるのではなく、創ること。
世界とつながりながらも、自分たちの基盤を自分たちで築く。

2. 安心して任せられる“信頼設計”を世界に売ること

倫理・省エネ・透明性を武器に、
アジア・欧州のパートナーと共に「信用経済圏」を築く。

3. 地方と中小企業に、“未来をつかむチャンス”を与えること

東京の大企業だけでなく、
地域や若者たちが“未来のインフラ”にアクセスできる仕組みを作る。

終わりに:静かに沈むか、それとも再び旗を掲げるか

これは、単なる技術やビジネスの話ではない。

これは——
日本が未来の「意思決定」に加われるかどうか、
その最後の分岐点かもしれない。

静かに沈んでいくのを見ているだけか、
それとも、もう一度立ち上がって、
「信頼される未来」を、この国から始めるのか。

決めるのは、今、私たち自身だ。